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書評|本好きが書いてます

本好きが書いている書評ブログです。様々な分野の感想を掲載しています

雨隠ギド 著「甘々と稲妻」親目線で読むと軽くトラウマ入るくらいキます。

妻を亡くした高校教師・犬塚とその娘で幼稚園児のつむぎが、母子家庭に育ち一人で食事をすることが多い女子高生・小鳥と知り合い、
ひょんなことから一緒にご飯を作って食べることになる、というお話。

 

とにかくつむぎちゃんが可愛い。

 

ママが亡くなったことを幼いなりに理解し、おとさんを困らせるような駄々はこねない。
食に関心の薄いおとさんがコンビニ弁当で済ませても文句を言わず食べる。
あんまりにも良い子過ぎて、だから余計に彼女が灯りもつけない暗い部屋で美味しそうな料理が映ってるテレビに貼り付いてる姿は、涙が出るほど衝撃でした。

 

おとさんはそんな彼女をおんぶして美味しいものを食べに行こうと夜の街を走り、小鳥ちゃんのお家が経営する食事処に駆け込むわけですが、そこでおとさんはつむぎのリクエストに応えて歌います。

 

息を切らせながら、アニメソングを一生懸命。
心理描写というかおとさんの独白や説明書きはないのですが、この時のおとさんの「ごめん、ごめん、ごめん!!」って心が聞こえるようで参りました。

 

そして作られる料理をつむぎが心の底から美味しそうに食べる表情に、またぎゅんと心臓を鷲掴みされるわけで。
あんまり美味しそうなので思わず作ってみたくなるのですが、掲載されているレシピがかなり手が込んでて面倒そうで、
二の足を踏んでしまうところに家族への愛が試されてる気がします。
美味しい料理を大切な人と一緒に食べる。当たり前だけど本当に大事なことだとしみじみ伝わってくる作品です。

高瀬 志帆 著「おとりよせ王子 飯田好実」取り寄せてしまいました…

最近グルメ・料理漫画が流行ですね。
そのなかでもこの作品はお取り寄せに特化したグルメ漫画。

 

SEとして働く青年・飯田好実、彼の週一の楽しみは毎週水曜日のお取り寄せグルメ。
様々なジャンルの美味しいものをお取り寄せして時にはそのまま、時には自分なりのアレンジを加えて美味しく頂きつつ、
お取り寄せを通じて苦手な人付き合いや家族関係が少しずつ改善されていく、というあらすじ。

 

卵かけご飯の卵に始まり、牛トロフレークや肉巻きおにぎりといったメジャーどころからオリーブオイルやトマトソースなどの調味料、
いかの塩辛や牡蠣のオイル漬けといった通好みまで本当に幅広いジャンルからお取り寄せしてるので、「これ食べてみたい!」と思う一品に絶対出くわします。

 

かくいう我が家はいちご煮の缶詰とオイルサーディン買ってしまいました。
お取り寄せなんて「名物に美味いものなし」と一緒で、高いばっかりで大して美味しくもないという思い込みが叩き壊されました。

 

オイルサーディン、スーパーで買う外国産の安いものなんか比べものにならないくらい身がふんわりとしつつ味が濃くて、本当に美味しかった…!
誇大広告のないお取り寄せ情報誌として秀逸。
ただし秀逸過ぎてお取り寄せし過ぎてしまうので自制心を忘れずに。

有川 浩 著「図書館戦争シリーズ」大人の為のライトノベル。

有川女史を一挙スターダムに押し上げた起爆剤とも言うべき作品。
あらゆるメディアの検閲を行い、取り締まりには武力制圧も辞さないメディア良化隊と、図書館の役割と本を守る為に誕生した図書隊の長きにわたる攻防のなか、かつて自分と本を救ってくれた「憧れの王子様」を追いかけて図書隊に入隊したヒロイン・郁。

 

担当教官・堂上が出会い、最初は反目し合うがともに戦ううちに恋が芽生える、というお話。

 

情報を規制する法律が出来て、その為の取締機関が出来た。ここまではわかる。
取締機関に対抗する組織が出来た。ここで「うん?」となる。
だって相手は法律じゃないの?いくら図書館法という後ろ盾があっても、自衛隊のように強力な防衛組織を作り上げ、銃撃戦もいとわず応戦するって、法律違反なのではなかろうか。

 

しかもそれが政府からお目こぼしされている状態って何なの?と、作中そのあたりのからくりとかパワーバランスについて解説はされてるのですが、

 

柔軟さに欠ける頭では理解が及ばないというか、腑に落ちません。
でも「まあいっか!」と目をつぶって先を読ませる面白さはさすがの有川女史。
純粋で正義感が強く、若さゆえに突っ走ってしまうけど、郁が嫌味に感じない。
いい年になってくると、ライトノベルが読めなくなるのはそのライトさが引っかかるのではなく、

 

登場人物達の若さ故の独善的な部分が「若い頃自分もこんな暴走するのがかっこいいと思ってた」という、いわゆる黒歴史的に居たたまれなくなってくるからなのですが、
そういう恥ずかしさもあまり感じない。
それは郁が賞賛されまくってるわけではないから。

 

ダメなところはダメとずばずば斬ってくれる貴重な女友達・麻子さんをはじめ、周囲の大人達も郁を甘やかさない。
人生経験を積んだ魅力的な大人が若者を見守っているのを読むと嬉しくなるのも年のせいでしょう。きっと。
軽く読めるのに読後感は後を引き、何度も繰り返し読みたくなる作品です。

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